超自己満足小説
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美弥が角を曲がるまで見送って、和希は教室に戻った。
「帰ったのか。」
純が聞いてきたので、「そうだよ」と答えて手伝いに入る。
小声で純に聞いてみる。
「ねえ、これで大丈夫だと思う?」
「多分な。」
純は見向きもせずに言った。
後夜祭の準備があるので、守は実行委の方に行ったという。
片づけを始めた教室は、何だか少し淋しく感じた。
その思いを振り切るように、純に尋ねた。
「美弥、かわいかったでしょ。」
「そうだな。」
その顔がニヤリ、と笑ったので、思わず声を張り上げた。
「だ、だめだよ!美弥にはカレシがいるんだから!」
「ばーか、大声で言うんじゃねえよ。」
呆れた声が返ってくる。
「・・・だって、純、美弥狙って・・・」
「俺のタイプじゃねえし。」
純はまたニヤリと笑って和希を見下ろした。
「どうせなら、お前の方がいい。」
「な・・・冗談言ってないで、早く終わらせちゃお!」
和希は急いで片づけを終わらせた。
後夜祭の途中で、和希は守に呼ばれた。
「かわいい子だったね。」
「でしょ?すっごくいい子なんだ。あ、でもだめだよ。彼氏いるからね。」
「俺は和希のほうがいいけど?」
またその冗談か。二人して同じネタじゃ飽きるよ。
「これでもう女説なくなるかな?」
「それはどうだろ。実行委の控え室では、『アレはダミーだ』説が有力だったけどね。」
「えええ?!せっかく来てもらったのに、意味ないじゃん!!」
なんだか和希は、非常にがっくりした。
「かわいい女の子二人が、仲良く手をつないで歩いているようにしか見えなかったようだよ。」
「かわいいって・・・なんだよそれ・・・。」
心底がっくりきている和希を見て、守はくすりと笑った。
「仕方ないよ、本当にかわいいんだから。着ぐるみも似合ってたし。」
「あれは・・・美弥に見られなくて良かった・・・。」
ふと、思い出した。美弥の言っていた言葉。
「そうだ、守。俺、美弥に言われたんだ。楽しそうって。」
守の目が、「え?」とこっちを向いた。
「家を出てよかった?って聞かれたから、うんって答えたんだ。きっかけを作ってくれたのは美弥だし、感謝しないとね。」
守はじっと和希の顔を見ていたが、ふうと息を吐いて和希の肩を抱き寄せた。
「そう・・・、良かったんだ・・・。」
「うん。」
「和希・・・帰りたい?家に。」
なんでそんなこと聞くの?
和希は守の顔を見上げた。
「今は、いい。」
そして、はっきりと言った。
「みんなが、いるから。」
守の手に、ぐっと力が入るのを感じた。
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「帰ったのか。」
純が聞いてきたので、「そうだよ」と答えて手伝いに入る。
小声で純に聞いてみる。
「ねえ、これで大丈夫だと思う?」
「多分な。」
純は見向きもせずに言った。
後夜祭の準備があるので、守は実行委の方に行ったという。
片づけを始めた教室は、何だか少し淋しく感じた。
その思いを振り切るように、純に尋ねた。
「美弥、かわいかったでしょ。」
「そうだな。」
その顔がニヤリ、と笑ったので、思わず声を張り上げた。
「だ、だめだよ!美弥にはカレシがいるんだから!」
「ばーか、大声で言うんじゃねえよ。」
呆れた声が返ってくる。
「・・・だって、純、美弥狙って・・・」
「俺のタイプじゃねえし。」
純はまたニヤリと笑って和希を見下ろした。
「どうせなら、お前の方がいい。」
「な・・・冗談言ってないで、早く終わらせちゃお!」
和希は急いで片づけを終わらせた。
後夜祭の途中で、和希は守に呼ばれた。
「かわいい子だったね。」
「でしょ?すっごくいい子なんだ。あ、でもだめだよ。彼氏いるからね。」
「俺は和希のほうがいいけど?」
またその冗談か。二人して同じネタじゃ飽きるよ。
「これでもう女説なくなるかな?」
「それはどうだろ。実行委の控え室では、『アレはダミーだ』説が有力だったけどね。」
「えええ?!せっかく来てもらったのに、意味ないじゃん!!」
なんだか和希は、非常にがっくりした。
「かわいい女の子二人が、仲良く手をつないで歩いているようにしか見えなかったようだよ。」
「かわいいって・・・なんだよそれ・・・。」
心底がっくりきている和希を見て、守はくすりと笑った。
「仕方ないよ、本当にかわいいんだから。着ぐるみも似合ってたし。」
「あれは・・・美弥に見られなくて良かった・・・。」
ふと、思い出した。美弥の言っていた言葉。
「そうだ、守。俺、美弥に言われたんだ。楽しそうって。」
守の目が、「え?」とこっちを向いた。
「家を出てよかった?って聞かれたから、うんって答えたんだ。きっかけを作ってくれたのは美弥だし、感謝しないとね。」
守はじっと和希の顔を見ていたが、ふうと息を吐いて和希の肩を抱き寄せた。
「そう・・・、良かったんだ・・・。」
「うん。」
「和希・・・帰りたい?家に。」
なんでそんなこと聞くの?
和希は守の顔を見上げた。
「今は、いい。」
そして、はっきりと言った。
「みんなが、いるから。」
守の手に、ぐっと力が入るのを感じた。
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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開