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超自己満足小説
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正月に年始のあいさつに帰ったきり、忙しいからと言って家に帰るのを怠っていた秋夜にとって、実家の敷居は跨ぎづらいものだった。
これにはもう一つ理由がある。
もういい歳になって彼女の一人もつれてこない秋夜を心配して、母がしつこく見合い話を持ってくるのであった。
今日も開口一番にその話を持ち出してくるのであろう。
それを思うだけで、秋夜は玄関のノブに触れかけた手を何度も引き下げる行為を繰り返していた。
「あらやっぱり秋ちゃんだった。おかえり~。」
玄関先の物音を聞きつけた母が、せかせかと出迎えた。
「ただいま、母さんあのさ、」
「何してんのよ、早く入りなさいな。」
手荷物を取り上げられ、秋夜は再び小声でただいまを言いながら、中に入った。
「それでね、母さん、」
「あんたに見せたいものがあるのよ。ほらそのテーブルの上の封筒。お願いだから、一応見て頂戴。」
「・・・。」
この大きさは、どうせまた見合い写真だろう。
毎回、顔を見て断っては失礼だろうと写真すら見ずに断っているのだが、
母はさっさと隣に座って、封筒を開け始めた。
「ほら、ちゃんと見なさいな。あんたと同じ年のお兄さんがいるんですって、気が合いそうじゃない?きっといい子よ~。ねえ人のよさそうな顔してるわ。」
写真だけで人柄を見抜ける能力が母に備わっているとは思えない。
秋夜は渋々横目で写真を覗き見た。
「・・・あ。」
見覚えのある顔。中学時代の同級生だった宮内の妹だ。
ばっちり化粧を施されているが、はっきり行って、兄・宮内にそっくりだ。
「友だちの妹だよ、この子。」
「あら分かっちゃった?向こうのお嬢さんに内緒にしてくれって言われてたのにね。秋ちゃんのこととっても気に入ってくれてるのよ~。なんでも初恋なんだとか。よーし、これで決まりね。」
「おいちょっと待てよ。」
どうしてそうなるんだ。

彼女が「くっないちょお!(ミヤウチだから宮内庁という単純なことだと思われる)」などとからかわれていたので、その連中を窘めてやったことがある。
するとお礼にといって、彼女からの怒涛のプレゼント攻撃が始まった。
少し助けただけなのにこんなに厚く礼をしてくるとは、なんて好い亀・・・いや人なんだろう、と最初は受け取っていたものの、次第に高価なものになっていくので、さすがに受け取りを断るようにした。
泣きながら走り去っていく後姿を見て、まるで自分がいじめたかのような罪悪感が残ったのだった。

「母さん、この子はちょっと・・・」
「あら何でよ~」
「なんでも!!そんなことより!俺聞きたいことがあってきたんだけど!」
「あ~~ん、留袖のレンタル下見に行ってきたのに~~。」
「気の早い話だな・・・。」
「だって、夏南ちゃんも結婚式してくれなかったのよ?せめて秋ちゃんは・・・。」
「それ!そのことなんだけど!!」
「??」
母はきょとんと秋夜の顔を見つめた。
「美郷って、ほんとに姉ちゃんの子なのか?」
母は2・3度瞬きをしたが、秋夜から目を逸らさなかった。
「俺、まだガキだったし、姉ちゃんの子だって言われればそうかなって信じてたけど、ちっとも似てないし、それに見つけたんだよ、これ。」
そう言って、こないだ発見した母子手帳を差し出した。
母は母子手帳と秋夜の顔を交互に見比べると、ふっと視線を落とした。
「秋ちゃんは、美郷のことが好き?」
「・・・好きっていうか、大事な姪だと思っている。」
「・・・そう。この話を聞いても、変わらないでいてくれるかな?」
秋夜はだまって頷いた。


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綾部 叶多
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非公開
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当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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