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超自己満足小説
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演奏会のために借りられたホールは、たくさんの人たちでごったがえしていた。
花束を抱えた見覚えのある人たちの中に、あいつはいた。
「なっち、平来てるよ。」
楽屋で楽器を片付けていた菜摘に声をかけ、わたしは平に見つからないようにこっそりと反対側の出口から出た。

「幸。」
電車が駅に着く直前、聞きなれた声に背後から呼び止められて、わたしは楽器のケースを持ち直した。
「幸、待て。」
「なによ。」
無視して駆け出そうにもコレがけっこう重いので、しかたなく諦めて振り返った。
すぐ後ろにいた平はわたしの手からケースを取り上げると、スタスタと前に出た。
「ちょ、自分で持てるよ。」
「重いんだろ?持ってやる。」
「恩着せがましいことで。」
わたしは聞こうと思いついた質問から、どれを最初に聞こうかと考えた。
「・・・そうそう、今日の試合、どうだった?」
「・・・・・負けた。」
最初から聞いてはいけないことを聞いてしまったらしく、口調は重く、声も低い。
「あ、そう・・・。でも平は出なかったんでしょ?」
「いや・・・一年だけの初試合だったから・・・。」
「あ、で、でもさ、しょーがないじゃん。何もかもうまくいくことなんてないもんね。」
ああわたし、なにフォロー入れてるんだろう・・・。
話題を変えなきゃとあせったわたしは、ほかの質問をぶつけてみた。
「それで、な・・・なっちは?一緒に帰らなくていいの?」
「・・・今日、はっきりさせてきた。」
「あ、そう、それは本人も喜ぶ・・・って、ええ~~??」
また聞くこと間違えたかも・・・。
「保留にしてた返事、してきた。部活に集中したいから断った。」
「またあんたはなにをカッコつけて・・・。」
「仕方ねえだろ。俺にだって目標があるんだよ。」
目標?
「よくわかんないけど、せいぜいがんばって。」
そう言いながら平を見上げると、平は慌てたように目をそらした。

駅の建物を抜けると、雨が降り出していた。
そうだった。
今朝お天気お姉さんが言ってたっけ。
夕方遅くなる人は傘をお忘れなくって。
わたしはごそごそとカバンを漁り、底から折りたたみ傘を取り出した。
「あ・・・。もしかして、傘持ってない?」
平は黙ってうなずいた。
「仕方ないなあ。入れてあげるよ。」
荷物持ってもらってるしね。
わたしは傘を開き、ぐんと手を伸ばして平の頭にかぶさるようにした。
「狭いけど我慢してよね。平んち廻っていくよ。」
傘を持ったわたしに歩調を合わせるかのように、ゆっくり進み出た。


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プロフィール
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綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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