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超自己満足小説
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「ただいま・・・。」
こんなに遅くなったのは、久しぶりのことだった。
一人で家で待つ美郷のことを思うと、いつも秋夜は誘いを断って家路を急ぐのだったが、妙に手際のいい松江に乗せられて、取引先の女性陣との食事につき合わされたのだった。
「さすがにもう寝ちゃってるよな。」
音を立てないようにして室内へ入り、風呂に入る準備をしていると、背後に人の気配がした。
「・・・まだ起きてたんだ。」
「お酒くさい。合コン、ですか?」
後ろめたいことは何もしていないはずの秋夜だが、遅くなってしまった申し訳なさで思わず首を強く振った。
「そんなんじゃないよ。仕事の仲間と食事に行ってたんだ。ちょっとお酒も飲んだけどさ・・・」
俺は何を言い訳しているんだろう。
ふと自分にずっと寄り添ったままだった一人の女性を思い出した。
ふらふらになって店から出てきたところをタクシーにぶち込んできたが、送ってあげなくて大丈夫だったんだろうか?
でもこれ以上遅くなるわけにはいかなかったから・・・。
ほらみろ。
この時間でさえ、美郷は機嫌を損ねてしまっているじゃないか。
「遅くなって悪かった。しばらくはこんな用事ないから。」
「すみません、私のせいですね。」
「へ?」
逆に謝られてしまい、その理由が思い当たらない秋夜は間抜けな声を出す。
「なにを言ってるんだ美郷。」
「私がいると、秋夜さんは自由に飲みに行ったり、遅く帰ったり、できないですよね。」
「俺はそんなこと望んでいない。」
「私がいないほうが秋夜さんは・・・。」
「みさと。」
秋夜のやけにきっぱりとした声が響く。
「誰が言った?そんなこと。」
「・・・・・。」
「お前のこと、いないほうがなんて、誰が言った?」
「・・・・・。」
「俺、美郷がいなかったらなんて、一度も思ったことないよ?」
美郷は俯いたままで、顔を上げようとしない。
秋夜は無意識に美郷に手を伸ばした。
美郷の頬は、初めて触れた時の、あの柔らかい感触と変わらなかった。
だが次の瞬間、頬がさっと色づき、戸惑うような瞳を見せ付けられたとき、秋夜の心がぐらりと動いた。
俺も相当酔っているのかもしれない。
あの女性のように。
だって、美郷がこんなに近くにいる。
「俺にとって美郷は、」
自分の口が勝手に動く。
「他に変えられない、」
何を言おうとしているんだ、俺は。
「大事な、」
秋夜はそこで一度、口を閉じた。
一呼吸おいて、言葉を選んだ。
「大事な、姪だよ。」
美郷がすっと距離をとる。
行き場をなくした秋夜の指が、空を切った。

美郷が自分に思いを寄せていることを、秋夜はうすうす感じていた。
だが秋夜はそれを、ただの憧れと捕らえている。
たまたま一番近くにいた異性だったというだけで、美郷が思いを募らせているだけなのだ。
小さな子どもが「パパのお嫁さんになる」というようなものと同じだ。
「大事な、姪だからな。」
誰もいなくなったリビングで、自分に言い聞かせるかのように呟いてみた。
美郷の部屋からは物音ひとつ聞こえてこなかった。

 
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プロフィール
HN:
綾部 叶多
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非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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