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超自己満足小説
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「美郷ちゃん合格おめでとう!」
「ありがとうございます。」
受かって当然というかのように、美郷は大して喜びもしなかった。
むしろ、前よりいくらか素っ気なく、さらに人当たりが悪くなっているかのようだ。
こうして秋夜の友人たち(主に仕事関係のだが)に祝ってもらっていても、美郷は終始視線を下に向け、不服そうな顔をしていた。
「おい美郷、少しは笑え、笑顔を見せろ。」
見かねた秋夜は酔った勢いで美郷にかみついた。
「念願の一人暮らしができるんだぞ、ちっとは喜べ。」
「秋夜、美郷ちゃんに絡むなよ。」
「そうですよ、酒はいってないの美郷ちゃんだけなんだから、ノリ悪くたって仕方ないですよ。」
大人たちのフォローも空しく、美郷はさらに機嫌を損ねる。
「秋夜さん・・・そんなに出て行くのがうれしいですか?」
「ちょっと美郷ちゃん。」
「私がいなくなると、清々しますか?やっぱり義理で面倒見ていたんですよね?」
「あのさ、美郷ちゃん・・・」
「当たり前だろ。」
秋夜が据わった目でそう答えると、周りの人間は「あああ」と溜息を漏らした。
「お前が最初に出て行くといったんだろう?俺が止めたにもかかわらず。今になって不安にでもなったのか?だからお前はまだお子様だって言うんだよ!」
「なあ秋夜、飲みすぎ・・・」
「飲みすぎてねえよ。」
いや明らかに飲みすぎだと思うのだが。
ほぼ全員一致した意見だった。
「お前が行きたいって言うから、受験させたんだぞ?今更行きたくないなんていったって、俺は聞かないからな。」
「あのですね、美郷ちゃんが言ってるのはそっちじゃなくて・・・」
「お前ごちゃごちゃうるさい!!」
秋夜は松江にも噛み付いた。
「大体お前が『少し距離を置け』なんて言ったからだろうが。俺は邪魔しちゃならないと思って、影からそっと見守っていたというのに、美郷は!」
「もういいです」と言い残して、美郷は自室へ引き上げた。
気まずい空気が流れたが、松江の気転で瞬時に盛り上がり、主役を欠いた宴会は夜更けまで続いた。

宴会場にしたリビングは、酒と食べ残した料理で酷く汚れていた。
「ううう、こんなに汚いと美郷に怒られる・・・。」
そしてますます嫌われる、と秋夜は酷く焦っていた。
昨夜泊まった松江を叩き起こして、二人でリビングの片づけを始めた。
「おい、早くしないと美郷がきちゃうよ・・・。」
さっきから一箇所でじっとしている松江に声をかけた。
はい、と空返事をした松江は棚に置いてあったビニールカバーつきの小さなものを勝手に取り出して見ていた。
「ちょっとコレ・・・お姉さんてシングルマザーだったんですよね?」
「そうだけど?なにか?」
秋夜は振り返った。
「ちなみに下の名前は?」
「かな。夏に南と書いて、夏南。」
「それってマジですか?」
そんなこと嘘ついてどーすんの、と秋夜は松江に近寄った。
「これ、ちょっと見てくださいよ。」
「何?・・・母子手帳?」
松江が差し出したのは美郷の母子手帳。
子の名前欄に「美郷」とある。
「ほら、ここんとこ。」
松江が指した母の名前の欄に書かれていた名前は・・・『佐伯妃菜子』。
「これって・・・。」

おかしいと思ったんだ。
母親にあまり似てるところがないから、てっきり父親似なんだと思っていた。
そして、姉が付けた割には「子」のつかない名前。
かなって名前が気に入らなかったとかで、自分の子には絶対「子」のつく名前にするんだと言っていたことをふいに思い出した。

「ねえちゃん・・・。」
松江が帰ったあと、秋夜は遺影に向かって話しかけた。
「佐伯妃菜子って誰なんだよ。美郷は、その佐伯さんの子なのか?ていうか姉ちゃん、そいつ今どうしてるんだよ。」
美郷の母親だとしたら、探し出してやらなければなるまい。
秋夜は考えた末、実家に電話を入れた。


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プロフィール
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綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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