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超自己満足小説
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日曜日。
応援隊にかり出されたわたしは、電車に乗って、会場になっているK高校へ向かおうとしていた。
「あれ~~?さっちゃん?」
「あ、こんにちは。」
平のお母さんだ。
平のお母さんは、私の楽器に目をやってから言った。
「日曜日に学校?ああ、部活?」
「はい、運動部の応援に。」
「もしかして・・・」
「水球部です・・・。」
嫌そうに答えちゃった。
そんなこと気にも留めない様子で、平のお母さんはにっこり笑って言った。
「そうなのー、ちょうど良かった。これ、平の忘れ物なのね。」
と、ビニールに入ったタオルを差し出した。
まさか・・・。
「平に渡してくれる?」
やっぱりか。
「あ、でも、おばさんが直接・・・。」
「ごめんねー、おばさんちょっと用事があって、ほんとはここで降りなきゃいけなかったの。よかった~。乗り越ししないですんだわ~。」
まだうんって言ってないのに!
「じゃ、よろしくね~。」
電車のドアが開くと同時に、平のお母さんは電車から飛び降りるようにして去っていった。

「はい、お届けモノ。」
ヒュ~ヒュ~とはやす声が背後から聞こえてくる。
だからイヤだって言ったの!!
平も不機嫌な顔。
「・・・ンだよ、どーせ出れねぇんだから、いらねぇのに・・・。」
「それ、おばさんに言ってよ。とにかく、届けたから!じゃ!!」
もう!恥ずかしい!
わたしは早足で観客席の部活仲間のところに合流した。
「あれ?なんでなっちがいんの?」
「へっへ~、見学に来ました♪」
そっかそっか、勉強熱心だなあ・・・。
って、ホルンはいらないんじゃ・・・?
まいっか。
「ねえ、西野くん出る?」
「ん?さっき聞いたけど、出ないって言ってたよ。」
「そう・・・。」
ほら、水着に着替えもしてないでしょ?
部のTシャツに学校指定の短パンはいて。
・・・う~ん、けっこうガタイ良いんだなあ・・・。
なんだか意外な感じがした。
「北島ぁ~~、音合わせるぞ~~。」
「はあ~~い。」
先輩たちとひと通り練習して楽器を置く。
ふと見ると、平がベンチに座ってこっちを見ていた。
なによ、文句でもあるの?
大丈夫よ、へたくそな演奏して、味方沈めたりしないから。
平の口が動いて声にならない言葉を発した。
『さんきゅ』
そして、にやりと笑う。
礼を言うのが遅いわよ。
わたしは『どーも。』と返して、再び楽器を手にした。

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綾部 叶多
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当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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