超自己満足小説
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文化祭が終わると、生徒会の仕事も一段落して、次期役員の候補者選びが始まる。
もちろん、全校生徒の選挙によって決定するのだが、候補者は学校側からや前任の生徒からの推薦でほぼ決まり、年末に選挙を行うことになる。
今年もその時季がやってきた。
生徒会長は高校二年生の一年間を任期としている。
学校側からの推薦と過去の実績から、やはり会長に日下守の名が挙がった。
「今期の会長は途中で変わったから、来期は通しで出来る人がいいな。」
教員からそのような声が上がる。
「ああ、体調不良とかで、退学したんでしたっけ?」
春ごろ生徒会室で起こった暴行未遂事件のあと、役員の半数が退学や休学をしたため、再選で役員を入れ替えたのだった。
事件は内密に処理されたが、理事長の意向が絡んでいたのは言うまでもない。
「で、やっぱり守なの?」
「う~ん、やっぱりってのは・・・。」
守は少し困った顔で答えた。
「だって首席だし、次席の圭太じゃ会長って感じじゃないでしょ?」
「う~ん、確かに圭太は人前に出るタイプじゃないね。」
推薦の通達を受けて、守は少し躊躇していた。
「だったら守がやるしかないでしょ?会長。」
「・・・あまり目立つことはしたくないんだけど・・・。」
今さら何言ってるの、と和希はあきれた。
「あのね、守は頭いいしかっこいいし、背も高いから充分目立つんだよ?それにやりたい仕事だったんでしょ?」
「確かにやりがいはあるけど・・・。」
「じゃあ、なにがいけないの?」
それは・・・と口を開きかけて、再び閉ざした。
「なに?」
和希は顔を覗き込む。
守は和希の頭に手を載せた。
・・・一緒にいるお前が、目立っちゃうから。
部活動に属さないで守の手伝いをしている和希は、全校生徒に知られるようになった。
今では守と一緒にいなくても、声をかけられるようになっている。
目の届くところにいる間はいいけど、もし何かあったら・・・。
守の心配をよそに、和希は半分むくれて言った。
「あのさあ、やりたいんだったらやりなよ。せっかくのチャンスじゃない。高2のうちだけなんだよ?生徒会長になれるのは。」
「・・・そうだね。」
守はしぶしぶ立候補を承諾した。
「お前は役員やらないのか?」
帰ってきたばかりで、まだジャージ姿の純が、和希に聞いた。
「俺?うん、あまり目立つことはね。」
どこかで聞いたような台詞だなと、純は思った。
「ヒマだから、手伝いはするよ。帰ってきても、純はいないしね。・・・と、そうだ。お正月はどうするの?」
逆に和希が尋ねた。
[このまま順調に行けば、全国行ってるかもな・・・。お前はどうすんだ?」
「・・・一日だけ、帰るよ。」
純は和希の顔を見た。表情はない。
「元旦に行って、二日に帰ってくるつもり。」
和希は純に向き直って言った。
「試合、見に行きたいしね。」
「今年は出れねえよ。」
純は苦笑した。
無理してるのが分かる。帰って大丈夫なのだろうか。
ここにいろと言いたいところだが、純も練習や試合があって、一緒にいられない。
純は自分の無力さを感じた。
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もちろん、全校生徒の選挙によって決定するのだが、候補者は学校側からや前任の生徒からの推薦でほぼ決まり、年末に選挙を行うことになる。
今年もその時季がやってきた。
生徒会長は高校二年生の一年間を任期としている。
学校側からの推薦と過去の実績から、やはり会長に日下守の名が挙がった。
「今期の会長は途中で変わったから、来期は通しで出来る人がいいな。」
教員からそのような声が上がる。
「ああ、体調不良とかで、退学したんでしたっけ?」
春ごろ生徒会室で起こった暴行未遂事件のあと、役員の半数が退学や休学をしたため、再選で役員を入れ替えたのだった。
事件は内密に処理されたが、理事長の意向が絡んでいたのは言うまでもない。
「で、やっぱり守なの?」
「う~ん、やっぱりってのは・・・。」
守は少し困った顔で答えた。
「だって首席だし、次席の圭太じゃ会長って感じじゃないでしょ?」
「う~ん、確かに圭太は人前に出るタイプじゃないね。」
推薦の通達を受けて、守は少し躊躇していた。
「だったら守がやるしかないでしょ?会長。」
「・・・あまり目立つことはしたくないんだけど・・・。」
今さら何言ってるの、と和希はあきれた。
「あのね、守は頭いいしかっこいいし、背も高いから充分目立つんだよ?それにやりたい仕事だったんでしょ?」
「確かにやりがいはあるけど・・・。」
「じゃあ、なにがいけないの?」
それは・・・と口を開きかけて、再び閉ざした。
「なに?」
和希は顔を覗き込む。
守は和希の頭に手を載せた。
・・・一緒にいるお前が、目立っちゃうから。
部活動に属さないで守の手伝いをしている和希は、全校生徒に知られるようになった。
今では守と一緒にいなくても、声をかけられるようになっている。
目の届くところにいる間はいいけど、もし何かあったら・・・。
守の心配をよそに、和希は半分むくれて言った。
「あのさあ、やりたいんだったらやりなよ。せっかくのチャンスじゃない。高2のうちだけなんだよ?生徒会長になれるのは。」
「・・・そうだね。」
守はしぶしぶ立候補を承諾した。
「お前は役員やらないのか?」
帰ってきたばかりで、まだジャージ姿の純が、和希に聞いた。
「俺?うん、あまり目立つことはね。」
どこかで聞いたような台詞だなと、純は思った。
「ヒマだから、手伝いはするよ。帰ってきても、純はいないしね。・・・と、そうだ。お正月はどうするの?」
逆に和希が尋ねた。
[このまま順調に行けば、全国行ってるかもな・・・。お前はどうすんだ?」
「・・・一日だけ、帰るよ。」
純は和希の顔を見た。表情はない。
「元旦に行って、二日に帰ってくるつもり。」
和希は純に向き直って言った。
「試合、見に行きたいしね。」
「今年は出れねえよ。」
純は苦笑した。
無理してるのが分かる。帰って大丈夫なのだろうか。
ここにいろと言いたいところだが、純も練習や試合があって、一緒にいられない。
純は自分の無力さを感じた。
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プロフィール
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綾部 叶多
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非公開