超自己満足小説
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「うるせえ、お前に何が分かる!」
純は和希を突き飛ばし、壁に押し付けた。
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!分かったような顔するんじゃねえ。」
胸倉を掴みぐらぐらとゆする。壁に頭がぶつかる。
シャツのボタンが飛び散った。
「な・・・お前・・・。」
純が絶句する。
和希は、放心した顔をしている。
「おまえ・・・・おん・・・。」
見る見る蒼白になっていく純。和希はぼんやりとその顔を眺めていた。
「純!何やってるんだ!!」
守が飛び込んでくる。
いいんだよ、ちょっと、もめただけさ、大きな音立ててごめんね。心配要らないよ・・・。
和希は頭の中で守に話しかけたが、声に出して言うことはできなかった。
「和希を放せ。」守の冷えた声がする。
「何やってんだ、お前。その手を離せ。」
「お・・・ま・・・こいつ・・・。」
「説明はちゃんとする。手を離せ。」
和希を掴んでいた手が離れる。守は「大丈夫か」と和希の顔を覗きこんで、純に振り返った。
「保健の橋本先生のとこに、連れて行く。」
守は手を掴んで和希を立ち上がらせ、純に「後から来い」と言って、保健室へ向かった。
保健室で頭をぶつけたことを話し、保冷材をもらって冷やしていると、純が入ってきた。
ものすごく、複雑な顔をしている。
橋本先生は純に椅子に座るよう促し、お茶を差し出した。
「さて、と。」
先生が話を切り出した。
「どこから話せばいいのかしらねえ。」
「始めから、お願いします。」
守が言った。
「お前は知ってたのか?」
純は守を睨みつけた。
「知ってて、押しつけた?」
「正確に言うと、違う。」
守は困った顔をして答えた。
「俺が知ったのも、先月、和希が倒れたときだ。」
「九条くんが、保健室に運ばれたときね。」
橋本先生が助け舟を出した。
「九条くんのことは、校長と、理事長と、私だけが知ってるの。それから日下くん。」
先生は守と目をあわせて頷いた。
「もっと早く宮城くんに話すべきだったわね。」
そう言って、先生は今までの経緯を純に話して聞かせた。
「騙すつもりは無かったんだ・・・ごめん・・・。」
和希は純に謝罪した。
純は何も言わない。
「こんなのと同室なんて、嫌だよね。ごめんね。俺、やっぱり学校辞めるよ。やっぱり、無理があったんだ。ごめんね・・・」
次第に涙声になってきているのに気付く。
嫌だ。泣くつもりなんて無いのに。泣いたら、卑怯だ。何にもならない。
「ごめんね・・・。」
純はまだ和希を見ようとしない。
立ち上がって、外に出ようとしたとき、純が和希の手首を掴んだ。
「いた・・・。」
「・・・行くとこ、あるのかよ・・・。」
無い。無いよ、でも・・・。
「仕方ねえだろ。俺が黙ってて済むなら、しばらくここにいろ。」
「でも・・・。」
「女だと思わなきゃいい話だ。そうだろ?」
そう、戸籍上、俺は女じゃない。でも・・・。
まだ戸惑っている和希を、純は不快そうに見つめ、言った。
「お前は女じゃない。今までそう思ってやってきた。これからもそうすればいいだけの話だ。」
そして小さく、「俺、女きらいだから。」と言って、口元を歪めた。
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純は和希を突き飛ばし、壁に押し付けた。
「ごちゃごちゃうるせえんだよ!分かったような顔するんじゃねえ。」
胸倉を掴みぐらぐらとゆする。壁に頭がぶつかる。
シャツのボタンが飛び散った。
「な・・・お前・・・。」
純が絶句する。
和希は、放心した顔をしている。
「おまえ・・・・おん・・・。」
見る見る蒼白になっていく純。和希はぼんやりとその顔を眺めていた。
「純!何やってるんだ!!」
守が飛び込んでくる。
いいんだよ、ちょっと、もめただけさ、大きな音立ててごめんね。心配要らないよ・・・。
和希は頭の中で守に話しかけたが、声に出して言うことはできなかった。
「和希を放せ。」守の冷えた声がする。
「何やってんだ、お前。その手を離せ。」
「お・・・ま・・・こいつ・・・。」
「説明はちゃんとする。手を離せ。」
和希を掴んでいた手が離れる。守は「大丈夫か」と和希の顔を覗きこんで、純に振り返った。
「保健の橋本先生のとこに、連れて行く。」
守は手を掴んで和希を立ち上がらせ、純に「後から来い」と言って、保健室へ向かった。
保健室で頭をぶつけたことを話し、保冷材をもらって冷やしていると、純が入ってきた。
ものすごく、複雑な顔をしている。
橋本先生は純に椅子に座るよう促し、お茶を差し出した。
「さて、と。」
先生が話を切り出した。
「どこから話せばいいのかしらねえ。」
「始めから、お願いします。」
守が言った。
「お前は知ってたのか?」
純は守を睨みつけた。
「知ってて、押しつけた?」
「正確に言うと、違う。」
守は困った顔をして答えた。
「俺が知ったのも、先月、和希が倒れたときだ。」
「九条くんが、保健室に運ばれたときね。」
橋本先生が助け舟を出した。
「九条くんのことは、校長と、理事長と、私だけが知ってるの。それから日下くん。」
先生は守と目をあわせて頷いた。
「もっと早く宮城くんに話すべきだったわね。」
そう言って、先生は今までの経緯を純に話して聞かせた。
「騙すつもりは無かったんだ・・・ごめん・・・。」
和希は純に謝罪した。
純は何も言わない。
「こんなのと同室なんて、嫌だよね。ごめんね。俺、やっぱり学校辞めるよ。やっぱり、無理があったんだ。ごめんね・・・」
次第に涙声になってきているのに気付く。
嫌だ。泣くつもりなんて無いのに。泣いたら、卑怯だ。何にもならない。
「ごめんね・・・。」
純はまだ和希を見ようとしない。
立ち上がって、外に出ようとしたとき、純が和希の手首を掴んだ。
「いた・・・。」
「・・・行くとこ、あるのかよ・・・。」
無い。無いよ、でも・・・。
「仕方ねえだろ。俺が黙ってて済むなら、しばらくここにいろ。」
「でも・・・。」
「女だと思わなきゃいい話だ。そうだろ?」
そう、戸籍上、俺は女じゃない。でも・・・。
まだ戸惑っている和希を、純は不快そうに見つめ、言った。
「お前は女じゃない。今までそう思ってやってきた。これからもそうすればいいだけの話だ。」
そして小さく、「俺、女きらいだから。」と言って、口元を歪めた。
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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開