忍者ブログ
超自己満足小説
[10]  [9]  [8]  [7]  [116]  [6]  [5]  [4]  [3]  [2
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

守はふと、斜め前の背中が揺らめいているのに気づいた。
珍しい。眠いのかな?
思わず笑みがこぼれる。
しばらくして、どうも様子が変だと気づく。
不意にぐらり、と傾いて、和希の体が仰け反った。
「危ない!」
とっさに手を伸ばし、背中を受け止める。
椅子が倒れて激しく鳴った。
「和希!!」
守の呼びかけに、和希は目を薄く開けたが、すぐに閉じてしまった。
手を回して抱きかかえる。
「保健室、連れて行ってきます。」
教師に告げて、教室を後にした。

保健室には誰もいなかった。
仕方なくベッドに寝かせ、タイを緩めた。
こういうときは体を拘束しているものを外してやるのだ。
ワイシャツのボタンをひとつひとつ外していく。
なんだかおかしい。
鎖骨が見え、その下にサポーターのようなものが見えた。
怪我でもしてる?
手を伸ばそうとしたその時、男子にはあるはずのない、小さなふくらみに気づいた。
「うそ・・・だろ・・・?」

「・・・・・う・・・ん・・・」
胸元を、何かが這っている感触がしていた。
ここは、どこだ?
そうか、僕は授業中に倒れて・・・。
和希の視界が、次第に開けてきた。
目の前に、ものすごく驚いた顔が見えた。
「まもる?」
その顔に向かって呼びかけた。
意識が急浮上する。
「ごめん、服を緩めようと思って・・・。」
やけにスースーする自分の胸元を見て、和希は一瞬で凍りついた。
これは、本当にまずい。
どうやって誤魔化そう。
ぐるぐる頭を回転させるが、うまい言い訳が出てこない。
もうだめかもしれない。
和希がそう思い始めたとき、ふと、頭に浮かんだ言葉。

「誰にも言わないでほしい。」

下手に言い訳するよりむしろ、正直に言ってしまったほうがいい。
半ばヤケになりながら、守の顔をじっと見つめて言った。
守は困惑した顔をしている。
そりゃあそうだよな。いくらなんだって・・・。
「事情を話してくれないか。」
守は和希をじっと見つめたまま、真剣なまなざしで言った。
和希も驚いて、見つめ返す。
「・・・黙っててくれるの?」
和希はこれまでの経緯を、守に話した。

最後まで、守は黙って聞いていた。
「・・・だから、黙っててほしいんだ・・・。」
和希が訴えるように守の顔を覗き込んだ。
「帰れないんだ。帰っても・・・居場所がない。」
「大丈夫だよ、約束する。」
守は頷いた。ほっとした和希は、ふんわりと笑みを浮かべた。

保険医の橋本が来て、和希に「貧血でしょう」と言った。
和希は、しばらく休んでから保健室を後にした。
教室で出迎えた守に、
「ありがとう。」
と言って微笑んだ。
守はそっと手を伸ばして、和希の頭をぽんぽんと叩いた。

守はほっとしていた。
あんなに悩んでいたのが、あっという間に晴れ渡ったみたいだ。
和希の秘密を知れたことで、自分自身を取り戻せた気分だった。
それにしても。
和希の親は、いったい何を考えているんだ?
まだ14歳(彼女は4月1日生まれ)の少女を、男子校にぶち込むなんて。
ある意味、虐待だろ。
どれだけ心細い思いをしているのか。
誰にも頼ることもできずに。
「帰る場所なんてないんだ。」
小さく笑った顔が焼きついて離れない。
守は拳を握って、和希のことを思った。
俺が、もっと大人だったら。
俺に、彼女を支える力があったら。
もっと力になってあげることができたのに。
まだ15の今の俺にできること。
それは、この子の秘密を守ること。
守はさらに力をこめて、掌を握り締めた。
 
BACK  NEXT



ブログランキング・にほんブログ村へ
PR
プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




ブログランキング・にほんブログ村へ
MAILFORM
Powered by NINJA TOOLS
レスは「たわごと」 にていたします。
忍者ブログ [PR]
material by: