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超自己満足小説
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部屋を出てエレベーターに乗った途端、和希は抱きすくめられた。
「ごめん・・・。」
守の小さな声が、頭上で響く。
和希はそっと手を回して、背中を二度叩いた。
「大丈夫だよ。」
守の拘束がさらに強くなる。
エレベーターは地下で止まり、駐車場に止めてあった車に乗せられた。
その間、ずっと手を握ったままだった。
ずっと黙っていた守が、重い口を開く。
「・・・ごめん。あんなことを、すると思わなかった。」
「いいよ、すぐ助けてくれたし。それに、先輩の時より怖くなかった。」
守に似てるからかな、と肩をすくめて笑う。
守はやっと表情を崩した。
「ちゃんと、話しないとだめだな。」
「渉くんと?」
守はうなずいた。
「どこかで行き違ってしまったみたいだ。道を見失ってる。俺も、あいつも。」
「守も?」
和希は意外そうな顔で、守を見つめる。
「『長男だから』って、跡を継ぐように言われて育ったんだ。双子なんだからどっちでもいいのにね。俺としては、アパレルなんて興味ないし服飾のセンスも無いんだけど・・・。渉のほうが、向いてる。」
守はため息をついた。
「ほんの5分ほど早く生まれただけなのにね。同じ顔ってだけで才能も性格も違うのに。弟はそれが許せなくて、次第に俺を憎むようになったんだ。」
「そうかあ。俺、渉くんの気持ちも分かる気がする。」
守が怪訝な顔つきで和希の顔を覗き込む。
「俺、母さまにそっくりなんだって。父は母さまの命を奪った俺が許せなかったみたいで、俺の顔もほとんど見てくれなかった。そりゃそうだよね、俺なんか産んだせいで・・・。」
和希は頭を軽く振って続けた。
「ごめん、俺の話はいいや。とにかく、そっくりで困ることもあるってこと。ちゃんと自分を見て欲しかったんだね、渉くんは。」
そう言ってまた守に向き直った。
「大丈夫。俺、渉くんを悪いやつだとは思わないよ。」
そして、微笑んだ。
「あ、そうだ。ばれちゃったんだ、渉くんに。あの状況なら、当然だけど・・・って、苦しいよ、守・・・」
守はもう一度、和希を抱き寄せた。

「ごめん!!色々あってさあ・・・。」
和希は純に両手を合わせて謝った。
「終わらなかったんだよ。今から圭太に聞いてくるから、待ってて。」
「いいよ、別に。」
純は仕方ないと机にノートを広げる。
「できるとこまでやってて。すぐに聞いてくる!」
そう言って、部屋を飛び出した。
「・・・たく、何やってたんだ?あいつは・・・。」
純は大きく伸びをして、課題に取りかかった。

数日後、守は久しぶりに実家に帰った。
実家と言っても、車で1時間ほどの近さなのだが。
父を亡くした後母が会社を引き継いだため、忙しくあちこちを回っているので、二人の子をそれぞれ寮のある学校に入れたのだった。
久々に家族が揃ったところで、守は早速提案した。
「渉に留学させてください。」
守の案はこうだ。
渉に本格的な服飾の勉強をさせ、デザインなどの仕事を任せる。
自分は経営学などを学んで、渉のサポートに着く。
それぞれに向き不向きがあるのを生かすように、補えるように。
当初渉は渋っていたが、最終的に前向きに検討すると言った。
その顔は少し照れているように、守は感じた。

「話できたんだ。」
寮に戻った守は、真っ先に和希に報告した。
よかったと安堵した表情の和希を見て、少し心が痛む。
また、酷い目にあわせてしまった。
あれほど守ると言ったのに。
当の和希は屈託なく、にこにことお茶を飲んでいる。
純が口をはさんだ。
「渉って、あの、ゲイのか。」
「うーん、違うらしいよ。バイなんだって。」
「・・・そりゃまた複雑な・・・。」
純は顔をしかめていたが、和希は大して気に止めていないようだ。
純はちらりと守を振り返った。
守の表情はいつもどおり穏やかであったが、その視線から愛しさが溢れていることを、純以外は気づかなかった。


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プロフィール
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綾部 叶多
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非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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