超自己満足小説
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あの事件以来、和希の隣には常に守か純がいるようになった。
必然的に、よそからあまり話しかけられなくなる。
そうして守られているうちに、先輩からされた不快な経験が、和希の中で次第に薄らいでいき、
今度は逆に、二人を心配するようになった。
「あまり俺にかまってばかりいると、自分のこと出来なくなっちゃわない?」
二人は同じ反応をするのだが、そのたびに和希は申し訳なく思うのであった。
「・・・でね、体育のとき、俺たちそのバスケ部員のいるチームと当たって。」
食堂で夕食を摂りながら、和希は嬉しそうに話し続ける。
「バスケのルールなんてみんな知らないから、めちゃくちゃだったんだけど。」
「バスケ部の奴って?」
純が尋ねた。
「ほら、二組の樋口だよ。」
守が横から口を挟む。
「最近、仲良いんだよね、和希と。」
「仲良いって言ったって、廊下で会ったら話する程度だけど?」
「話するだけでも、珍しいな。」
和希は「そおかなぁ」と言って首をかしげる。
「大体さあ、純も守も俺のことかまいすぎ。もうヘンな事してくる奴なんていないし、一人でも平気だよ?」
二人は首を振るが、和希は不満そうに言った。
「本当に大丈夫なんだから。俺、男だし。」
二人は顔を見合わせ、あきれた顔をした。
球技大会の後、二組の樋口に誘われて、映画を見に行く約束をした。
「ばれたらどうするんだよ。」
純があきれた声をあげる。
和希は「なんで?」と聞き返した。
「平気だよ。ちょっとの時間じゃない。それに俺、映画館て行ったことないんだ。」
はあ~と大きく溜息をついて、純はそれっきり口を閉じた。
守にも同じように話し、許可を得る。
純は和希がいなくなった後、守に話しかけた。
「・・・あいつ、あんな目にあったのに、こりねえな。」
「和希は“女”の自分が襲われたと思ってないんだろ。仕方ないよ、意識は男なんだ。」
「教室でも、平気でシモ話してるし。」
「・・・あまり過激なのは、聞かせないようにしているんだけどね・・・。」
やれやれと首を振って、守は溜息をついた。
「守りたい、と思うのは、俺のエゴなのかな・・・。」
純は訝しげに守を見やる。微笑んだままの表情からは簡単に伺うことはできないが、なにやら悩んでいるようだ。
「お前・・・。」
「言いたいことは分かるよ。」
言い切らないうちに、守は言葉を遮った。
「自分でも分かってる。でもね。」
守はさらに笑みを深めて、言った。
「自分の気持ちを、押し付けるつもりはない。・・・俺は、あの子が幸せなら、それで良い。」
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必然的に、よそからあまり話しかけられなくなる。
そうして守られているうちに、先輩からされた不快な経験が、和希の中で次第に薄らいでいき、
今度は逆に、二人を心配するようになった。
「あまり俺にかまってばかりいると、自分のこと出来なくなっちゃわない?」
二人は同じ反応をするのだが、そのたびに和希は申し訳なく思うのであった。
「・・・でね、体育のとき、俺たちそのバスケ部員のいるチームと当たって。」
食堂で夕食を摂りながら、和希は嬉しそうに話し続ける。
「バスケのルールなんてみんな知らないから、めちゃくちゃだったんだけど。」
「バスケ部の奴って?」
純が尋ねた。
「ほら、二組の樋口だよ。」
守が横から口を挟む。
「最近、仲良いんだよね、和希と。」
「仲良いって言ったって、廊下で会ったら話する程度だけど?」
「話するだけでも、珍しいな。」
和希は「そおかなぁ」と言って首をかしげる。
「大体さあ、純も守も俺のことかまいすぎ。もうヘンな事してくる奴なんていないし、一人でも平気だよ?」
二人は首を振るが、和希は不満そうに言った。
「本当に大丈夫なんだから。俺、男だし。」
二人は顔を見合わせ、あきれた顔をした。
球技大会の後、二組の樋口に誘われて、映画を見に行く約束をした。
「ばれたらどうするんだよ。」
純があきれた声をあげる。
和希は「なんで?」と聞き返した。
「平気だよ。ちょっとの時間じゃない。それに俺、映画館て行ったことないんだ。」
はあ~と大きく溜息をついて、純はそれっきり口を閉じた。
守にも同じように話し、許可を得る。
純は和希がいなくなった後、守に話しかけた。
「・・・あいつ、あんな目にあったのに、こりねえな。」
「和希は“女”の自分が襲われたと思ってないんだろ。仕方ないよ、意識は男なんだ。」
「教室でも、平気でシモ話してるし。」
「・・・あまり過激なのは、聞かせないようにしているんだけどね・・・。」
やれやれと首を振って、守は溜息をついた。
「守りたい、と思うのは、俺のエゴなのかな・・・。」
純は訝しげに守を見やる。微笑んだままの表情からは簡単に伺うことはできないが、なにやら悩んでいるようだ。
「お前・・・。」
「言いたいことは分かるよ。」
言い切らないうちに、守は言葉を遮った。
「自分でも分かってる。でもね。」
守はさらに笑みを深めて、言った。
「自分の気持ちを、押し付けるつもりはない。・・・俺は、あの子が幸せなら、それで良い。」
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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開