超自己満足小説
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例年より少し早く梅雨に入り、じめじめしてきたのに加えて、和希の体調もいまいち優れなかった。
遅れてきた五月病というところか。
結局、部活動も決めかねていたので、放課後は、守を手伝いがてら生徒会室に来ていた。
そこに、高等部前生徒会長と今期の役員たちが同時に入ってきた。
「・・・で、前期の予定表がコチラ。焼き直しでかまわないから同じように作ってみて。」
三年の上田前会長が、書類を手渡しながら言った。
「はい。それじゃ・・・日下くん、一緒に来てよ。」
守は二年の宮島に呼ばれて、行ってしまった。
和希は取り残された。
ふいに視界がかげり、見上げると上田が微笑みながら立っていた。
「九条くん、だよね。」
「はい。」
上田はさらに近づいてきて、顔を覗き込むように身体を曲げた。
「日下がかわいがってる子が気になってね。」
そう言いながら、笑みを深める。
和希は思わず体をそらし、距離をとった。
「何ですか?」
「日下って、いまいち何考えてんだか分からないじゃない?でも、君といるときはなんだか楽しそうなんだよねえ。」
そうですか?と言おうとして口を開こうとした。だがその前に、上田が肩を掴み、机に仰向けに押し付けられた。
「華奢だねえ・・・」
ニヤリ、と不快に笑う。
まずい、と思って、和希は身体をひねるが、思いのほか強い力で、動かすことができない。
「何するんですか、先輩。」
自分でも声が震えているのが分かる。
「なにって・・・そんなかわいい顔して。怖くないよ。痛くしないからね・・・。」
「へ・・・変態!!」
「暴れても無駄だって。」
他の生徒たちもニヤニヤと見ている。
「やだ!離して下さい!!」
上田は黙ってタイを外す。
(ばれちゃうじゃん!)和希は必死になって体をよじり、脚を上げた。
その脚を他の生徒が捕らえ、押さえつける。
「な、何すんだよ!!△@○×※△!!」
口も抑えられてしまった。
上田の手が、ベルトのバックルをガチャガチャといわせて外しにかかった。
どんどんどんっっ!!
生徒会室のドアが激しく叩かれ、外から「和希!!」と呼ぶ声がした。
「○△@×△×!!」
声にならない声で、助けを求める。
チッと舌打ちをした上田が、身体を離した。
ドガッという音がして、守が飛び込んできた。
「先輩・・・どういうことですか?」
まだ和希の体を抑えていた生徒たちに、一発ずつ蹴りを入れて、上田の方に向き直った。
「わざと宮島サンに俺を呼ばせたんですね?」
守は上田の顔面間近まで迫り、「どうなっても知りませんよ。」と冷たい声で言った。
和希はその声を、震えの残る自分の体を抱きしめながら聞いていた。
守は和希に自分の上着を羽織らせ、寮まで連れて帰った。
「もう平気。」と弱々しく言う和希に、落ち着くからと言って温かいミルクを持たせた。
和希の目から涙がぼろぼろこぼれる。それを袖口でぬぐいながら言った。
「情けない・・・。もっと、もっと強くならなきゃ・・・。」
「どうして?」
「男に襲われるなんて、かっこ悪いよ。情けない。全然動けなかったんだ。もっと鍛えて、力つけて、強くならないと・・・。」
ずっと黙っていた純が、口を開いた。
「鍛えたって無駄だ。強くなる必要なんてない。」
「でも」
「高校生ぐらいになると、男女の差が開いてきて当然だ。いくら鍛えるって言ったって、お前は所詮、女だ。」
「・・・。」
「力で勝てるわけがない。思い知ったか。」
和希はぎこちなく頷き、守のほうを見た。
目が合った守は、少しだけ表情を緩めて言った。
「ごめんね、俺の落ち度だ。一人にして悪かったよ。もう離れないようにするから、心配要らないよ。」
そして肩を軽く叩き、再び小さな声で「ごめんね。」と言った。
「先輩にはそれなりの応酬を受けてもらわないとね。」
「うわ!守やっぱ怖ええ!」
純はまじめに嫌そうな顔をした。
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遅れてきた五月病というところか。
結局、部活動も決めかねていたので、放課後は、守を手伝いがてら生徒会室に来ていた。
そこに、高等部前生徒会長と今期の役員たちが同時に入ってきた。
「・・・で、前期の予定表がコチラ。焼き直しでかまわないから同じように作ってみて。」
三年の上田前会長が、書類を手渡しながら言った。
「はい。それじゃ・・・日下くん、一緒に来てよ。」
守は二年の宮島に呼ばれて、行ってしまった。
和希は取り残された。
ふいに視界がかげり、見上げると上田が微笑みながら立っていた。
「九条くん、だよね。」
「はい。」
上田はさらに近づいてきて、顔を覗き込むように身体を曲げた。
「日下がかわいがってる子が気になってね。」
そう言いながら、笑みを深める。
和希は思わず体をそらし、距離をとった。
「何ですか?」
「日下って、いまいち何考えてんだか分からないじゃない?でも、君といるときはなんだか楽しそうなんだよねえ。」
そうですか?と言おうとして口を開こうとした。だがその前に、上田が肩を掴み、机に仰向けに押し付けられた。
「華奢だねえ・・・」
ニヤリ、と不快に笑う。
まずい、と思って、和希は身体をひねるが、思いのほか強い力で、動かすことができない。
「何するんですか、先輩。」
自分でも声が震えているのが分かる。
「なにって・・・そんなかわいい顔して。怖くないよ。痛くしないからね・・・。」
「へ・・・変態!!」
「暴れても無駄だって。」
他の生徒たちもニヤニヤと見ている。
「やだ!離して下さい!!」
上田は黙ってタイを外す。
(ばれちゃうじゃん!)和希は必死になって体をよじり、脚を上げた。
その脚を他の生徒が捕らえ、押さえつける。
「な、何すんだよ!!△@○×※△!!」
口も抑えられてしまった。
上田の手が、ベルトのバックルをガチャガチャといわせて外しにかかった。
どんどんどんっっ!!
生徒会室のドアが激しく叩かれ、外から「和希!!」と呼ぶ声がした。
「○△@×△×!!」
声にならない声で、助けを求める。
チッと舌打ちをした上田が、身体を離した。
ドガッという音がして、守が飛び込んできた。
「先輩・・・どういうことですか?」
まだ和希の体を抑えていた生徒たちに、一発ずつ蹴りを入れて、上田の方に向き直った。
「わざと宮島サンに俺を呼ばせたんですね?」
守は上田の顔面間近まで迫り、「どうなっても知りませんよ。」と冷たい声で言った。
和希はその声を、震えの残る自分の体を抱きしめながら聞いていた。
守は和希に自分の上着を羽織らせ、寮まで連れて帰った。
「もう平気。」と弱々しく言う和希に、落ち着くからと言って温かいミルクを持たせた。
和希の目から涙がぼろぼろこぼれる。それを袖口でぬぐいながら言った。
「情けない・・・。もっと、もっと強くならなきゃ・・・。」
「どうして?」
「男に襲われるなんて、かっこ悪いよ。情けない。全然動けなかったんだ。もっと鍛えて、力つけて、強くならないと・・・。」
ずっと黙っていた純が、口を開いた。
「鍛えたって無駄だ。強くなる必要なんてない。」
「でも」
「高校生ぐらいになると、男女の差が開いてきて当然だ。いくら鍛えるって言ったって、お前は所詮、女だ。」
「・・・。」
「力で勝てるわけがない。思い知ったか。」
和希はぎこちなく頷き、守のほうを見た。
目が合った守は、少しだけ表情を緩めて言った。
「ごめんね、俺の落ち度だ。一人にして悪かったよ。もう離れないようにするから、心配要らないよ。」
そして肩を軽く叩き、再び小さな声で「ごめんね。」と言った。
「先輩にはそれなりの応酬を受けてもらわないとね。」
「うわ!守やっぱ怖ええ!」
純はまじめに嫌そうな顔をした。
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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開