超自己満足小説
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わたしが溺れかけた(実際、本気で溺れてたけど)という話は、瞬く間に全校に知れ渡ったようだ。
平に助けられたというオプションつきで。
抱き合って水面に顔を出したのを見た子達が、きゃあ~~と黄色い悲鳴を上げていたそうだ。
ふんっ。
誰も助けてくれなんて頼んでないのに。
「助けて」って言ったかもしれないけど、「平に」とは言ってないもん。
またヘンなウワサが流れちゃうじゃない。
部活に出ると、南先輩が心配そうな顔で話しかけてきた。
「大変だったみたいだね、大丈夫?」
わたしは元気なところを見せた。
それでも心配そうな顔をしたままの先輩は、帰りは送っていくといって、早めに練習を切り上げた。
「水球の西野に助けられたんだってね。」
「え?あ、はい。」
誰だ、先輩に話したヤツは。
「もしかして、北島さん泳げないの?」
「いえ、泳げなくもないこともないとはいえないですけれども・・・」
「・・・?」
先輩は首を傾げて私を見ている。
欠点を知られるって、本当に恥ずかしい。
幻滅だよねー。
わたしに対する評価が下がったと思った。
「西野と、仲良いんだね。」
「え?は?やだ先輩、ただの幼馴染ですよ。腐れ縁です。」
「そう?」
先輩はわたしの顔を見下ろした。
何かを探ろうとしているような顔に見えた。
「やだなあ。先輩まで、わたしとあいつがどうとか思っちゃってるんですか?そんなの、ぜんぜんあるわけないですよぉ。」
「そうかな・・・。」
「だってあいつなんて、ぜんぜん恋愛対象としてみたことないですよー。てか、見れない。こ~んなチビだったのも知ってるし。」
先輩は黙って聞いている。
「あ、そうだ、彼女もできたんですよー。わたしの友達なんですけど・・・って、先輩も知ってる人じゃん!!」
すっかり忘れてた・・・。
「俺も知ってる?」
「菜摘ですよー。ホルンの東山菜摘。」
「・・・ああ、あの子か。」
先輩はそれからも一人で何か考えているようだった。
本当にわたしの家の前まで、送ってくれた。
「ありがとうございます。」
「ゆっくり休んでね。」
「はい。でもほんと、大丈夫ですよ?」
先輩は、そっとわたしの手をとった。
すごく自然な、仕草だった。
「こないだの、返事を聞かせてくれないかな。」
「あ・・・・・。」
途端にわたしの鼓動が早くなる。
そっか、あれからずっと放置したままだった・・・。
「彼、東山さんとつきあってるんでしょう?」
ん?だからなんでそれが・・・。
「北島さん、今フリーなんでしょう?」
フリーって、これまでの人生ずっとフリーでしたが・・・。
「じゃあ、問題ないでしょう?」
先輩はふっと笑って、手の力を少し強くした。
「俺と、つきあってくれる?」
心拍数が上がり、わたしの思考能力が停止していく。
「・・・・はい。」
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平に助けられたというオプションつきで。
抱き合って水面に顔を出したのを見た子達が、きゃあ~~と黄色い悲鳴を上げていたそうだ。
ふんっ。
誰も助けてくれなんて頼んでないのに。
「助けて」って言ったかもしれないけど、「平に」とは言ってないもん。
またヘンなウワサが流れちゃうじゃない。
部活に出ると、南先輩が心配そうな顔で話しかけてきた。
「大変だったみたいだね、大丈夫?」
わたしは元気なところを見せた。
それでも心配そうな顔をしたままの先輩は、帰りは送っていくといって、早めに練習を切り上げた。
「水球の西野に助けられたんだってね。」
「え?あ、はい。」
誰だ、先輩に話したヤツは。
「もしかして、北島さん泳げないの?」
「いえ、泳げなくもないこともないとはいえないですけれども・・・」
「・・・?」
先輩は首を傾げて私を見ている。
欠点を知られるって、本当に恥ずかしい。
幻滅だよねー。
わたしに対する評価が下がったと思った。
「西野と、仲良いんだね。」
「え?は?やだ先輩、ただの幼馴染ですよ。腐れ縁です。」
「そう?」
先輩はわたしの顔を見下ろした。
何かを探ろうとしているような顔に見えた。
「やだなあ。先輩まで、わたしとあいつがどうとか思っちゃってるんですか?そんなの、ぜんぜんあるわけないですよぉ。」
「そうかな・・・。」
「だってあいつなんて、ぜんぜん恋愛対象としてみたことないですよー。てか、見れない。こ~んなチビだったのも知ってるし。」
先輩は黙って聞いている。
「あ、そうだ、彼女もできたんですよー。わたしの友達なんですけど・・・って、先輩も知ってる人じゃん!!」
すっかり忘れてた・・・。
「俺も知ってる?」
「菜摘ですよー。ホルンの東山菜摘。」
「・・・ああ、あの子か。」
先輩はそれからも一人で何か考えているようだった。
本当にわたしの家の前まで、送ってくれた。
「ありがとうございます。」
「ゆっくり休んでね。」
「はい。でもほんと、大丈夫ですよ?」
先輩は、そっとわたしの手をとった。
すごく自然な、仕草だった。
「こないだの、返事を聞かせてくれないかな。」
「あ・・・・・。」
途端にわたしの鼓動が早くなる。
そっか、あれからずっと放置したままだった・・・。
「彼、東山さんとつきあってるんでしょう?」
ん?だからなんでそれが・・・。
「北島さん、今フリーなんでしょう?」
フリーって、これまでの人生ずっとフリーでしたが・・・。
「じゃあ、問題ないでしょう?」
先輩はふっと笑って、手の力を少し強くした。
「俺と、つきあってくれる?」
心拍数が上がり、わたしの思考能力が停止していく。
「・・・・はい。」
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プロフィール
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綾部 叶多
性別:
非公開