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「悪いが今日、駅まで付き合ってくれ」
珍しく、純が買いたいものがあると言ってきた。
和希はすぐに承諾し、放課後、駅前のショッピングモールに立ち寄った。
「よお、久しぶりじゃねえか。」
和希の見知らぬ男が話しかけてきた。
他校の制服を着ている。
「何だよ、シカトかよ。」
男は純に向かって詰め寄ってきた。
純はあからさまに嫌そうな顔をする。
「何々~?基樹の知り合い??」
仲間らしき男子生徒が二人集まってきた。
「純?」
不審に思って、純の顔を覗きこむ。
「・・・基樹だ。」
純は和希の耳元で言った。
「つれないなあ、一緒に暮らした仲じゃん。」
そう言うと、基樹は純の肩に手を置いた。
迷惑そうにその手を払いのけると、基樹に向かって言った。
「負け犬には用はねぇ。」
「純。」
そんな言い方はないだろう、と和希が言いかけたとき、男たちがケラケラと笑い出した。
「すげぇよな。あんだけのコトおこしておいてよ、お咎めなしだもんな。さすがスーパープレイヤーは違うよ。」
小馬鹿にしたようなその口調に、純の眉がひそめられた。
「純!」
今度は違う意味で呼びかけた。
「ほっときなよ。」
「おいちっちぇえの。」
基樹は和希に向かって下卑た笑いを浮かべながら言った。
「お前、外部生か?中学ん時は見なかったよな。」
にやついた目でじろじろ眺める。
「女みてえな顔しちゃって。純の慰めものになってんじゃねえの?」
「なんだと!!」
「和希」
今度は純が制止した。
「・・・お前には用はねえ。ほら、行くぞ。」
和希を促して、男たちに背を向けた。
「くそ・・・あの野郎・・・」
その顔に嫉妬と屈辱の色を浮かべ、基樹は拳を握り締めた。
「基樹って人に会ったんだ」
夕食後、和希は守と談話室でお茶を飲んでいた。
「純ってば、挑発に乗らなかったし、えらかったよ、ね?」
ニコニコと笑いながら今日の報告をする。
守は微笑みながら聞いていた。
「純も沸点が高くなったんだな。」
「あはは、そうだね。キレるかと思ったけど、流しちゃってたよ。」
手にした湯飲みにふうふうと息を吹きかけ、少し口をつけると「まだ熱いや」とまた口から離した。
「純は、もう、ケンカなんかして、出場停止になんてならないよ。」
嬉しそうに言うので、守は思わずその頭を撫でた。
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