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超自己満足小説
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どちらからということもなく談話室を出て、自室へ向かった。
二人ともほとんど無言のまま部屋の前に着き、「おやすみ」と声をかけ合ってドアを開いた。
中に足を踏み入れた途端、強い力に抱きしめられた。
・・・・純。
無言のまま、ただ強く和希を抱きしめる。
どのくらい、いや、そんなに長い時間ではなかったか、やがて純は少しだけ拘束を緩め、
「・・・風呂、まだだったろ。」
と呟くように聞いた。
「うん。」
「行って来い。」
「うん。」
行って来いと言う割には、離そうとしない。
「・・・苦しいんだけど。」
そこでやっと身体を離したので、和希は顔を覗くように見上げた。
「純?」
「・・・話はできたか。」
「守と?・・・うん、発つのは24日だって。」
純は「そうか」と答えると、そのままベッドの二階へ上がっていった。

部屋に戻った守は、いつもどおり机に向かっている圭太に「ただいま」を言うと、荷物の整理を始めた。
「・・・これでいいのか?」
珍しい圭太の問いかけに、守は「何のこと?」と聞き返す。
「お前は、これでいいのか、と聞いているんだ。」
圭太はさらに続けた。
「留学決めて、あいつから離れて。お前の気持ちはそんなもんだったのか。」
「お前、なに言って・・・」
「俺の知りたいのは、和希の秘密じゃない。お前の気持ちだ。自分の想いを殺して、あいつから離れて、それでいいのかって聞いているんだ。」
守は黙って聞いていたが、大きなため息をついて言った。
「俺はね、和希が幸せなら、それでいいんだ。必要とされているのは、俺じゃない。」
「逃げるんだな。」
圭太の声が冷たく響く。
だが、守は顔色ひとつ変えない。
「そう、逃げる。逃げてるんだ。誰かのものになっていくのを、見ていたくないから・・・。」
圭太はあきれたような眼でじろり、と見ると、少し間をおいてから言った。
「まあ、お前がそれで良いなら、俺は止めない。」
「ありがとう、恩に着るよ。」
圭太はさらにあきれた顔になったが、くるりと椅子を反して、守に背を向けた。

部屋にひとり取り残された純は、少し前の光景を思い出していた。
和希の姿が見えなくて探しに行った先、談話室で二人が話しているのを目にした。
ひき離そうと思いドアノブに手をかけたとき、声が聞こえてきた。
『何だよ、何でだよ!』
和希の、守を攻め立てる声。
対する、守の謝罪する声。
・・・あの二人を引き裂いたのは、間違いなく俺だ。
自分の異常な独占欲で、和希から守が離れるように仕向けた。
誰より和希のことを想ってやまないあいつなら、そうなるのは分かっていた。
裏切られたと、和希は思っているんだろう。
部屋に戻ってきた和希を、腕の中に閉じ込めた。
『すまなかった・・・』
渡したくないと思う気持ちが、こんなにも自分の心を狭くさせる。
『それでも・・・好きなんだ・・・』
和希のぬくもりを離したくなくて、苦しそうな声を聞くまで力を込め続けた。
これだけ愛してるんだ、という思いを込めて。
・・・後悔するくらいなら、絶対に手放さないことだ。一生。
和希が帰ってくるまで、ひとり思案しつづけていた。



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プロフィール
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綾部 叶多
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非公開
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当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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