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あきらかに怯えている。
背後で純が動くたび、和希の体がビクンと動く。
あの夜からだ。
和希を求めた、あの夜。
欲望のままに組み伏せたことを恥じ、部屋に帰ることができず、屋上に上がって夜が明けるのを待った。
涙に濡れた顔、投げ出された身体。
違う、そんなものが欲しいんじゃない。
深く後悔していても、口にしなければ伝わるはずもなく。
だが、今更なにを言っても言い訳にしかならないと感じて、何も言えずにいた。
そんな純にどう対処したらよいか分からず、和希は部屋で二人きりになることを避けるように、朝部屋を出ると消灯時間ぎりぎりまで戻らなかった。
それでも、他所で課題をやる訳にもいかないので、今こうして部屋に戻り机に向かっている。
「和希」
その背中に声をかけてみた。
「な・・・なに?」
和希は恐る恐る振り返り、純と目を合わせた。
やっと、顔を見られた。
純は、情けないくらい嬉しく感じる自分に少し驚く。
「・・・こないだは、悪かった。」
あれこれ考えていた言葉はひとつも口に出せず、ただ正直に謝罪した。
「・・・いいよ。」
和希は目をそらして言った。
「もう、いいよ。手近に女がいたから、したくなっただけだろ?」
「違う。」
「じゃあなんだよ!」
「お前が欲しかった。傷つけたかったわけじゃない。」
「・・・よく言うよ・・・。」
「本当だ。今更、何を言っても仕方ないが、本当に・・・好きだ。」
和希の目が驚きで見開かれる。
「好きだ、和希。お前を、手に入れたい。」
「あ、の・・・俺・・・・」
戸惑ったままの表情で、純を凝視する。
「わかってる。お前が、俺を友達としてしか見てないってことも。」
「・・・・。」
「それでも、だ。お前が、俺を男として見れるようになるまで、がんばるから。ゆっくりでいい。俺を、受け入れてくれ。」
「純・・・」
「もう二度と、お前の嫌がることはしない。」
そう言うと、純は和希の髪に触れ、愛おしそうな笑みを浮かべた。
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