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超自己満足小説
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愛しい人が、泣いている。
守にはそれだけで十分な理由だった。
翌日、純を捕らえて屋上へ呼び出す。
「お前まで、なんだよ。」
純は相当不機嫌だった。
「ほっとけば、いつかは立ち直ると思ってたけど。」
守は純を見据えたまま、冷たく言い放った。
「いつまでもいじけているみたいだからね。」
「・・・今まで何も言わなかったくせに。」
「かまってほしかったのか。」
ふんっと小さく笑い、守は純に顔を近づけた。
「ほんと、和希が言ったとおりだ。ガキだな。」
「・・・だと?」
「ガキに言っても無駄だが。和希は見抜いていた。お前が、本当はつらいんじゃないかと。俺もそう思ってたから、黙ってたんだ。けどね・・・、あの子を泣かすことは、許さないよ。」
「だからなんだよ。俺にどうしろっていうんだ。」
「本音で話せよ。お前、いつの間にか、本心隠すようになって。本来のお前は、そんなんじゃないだろ?」
「わかったようなことほざいてんじゃねえ。」
「俺にぶつかってきたときのこと、思い出せよ。」
「はあ?・・・思い出話かよ。くだらねえ。」
「そうじゃない・・・お前が俺に言ったんだ。『仮面つけてんじゃねえよ。』今度は俺が、同じこと言ってやる。」
純の右頬に痛みがはしる。衝撃でよろけた純の胸倉を守が掴んだ。
「利き腕じゃないほうだ。加減できそうにないからね。」
再び左手を突き上げる。
小さくうめいた純は守を睨みあげ、唾を吐き出した。
「・・・ざけんな・・・。」
「聞こえないねぇ。ちゃんと大きな声で話せよ。」
純を見下ろし、冷たい声で言った。

「うわっっ、何やってんだよ!!」
純を探していた和希は、屋上に二人の姿を認めると、急いで駆け寄ってきた。
「あああ、血が出てる。口切れてるね。・・・守、何やってんの?」
守は沈黙したまま、じっと純を見下ろしている。
「さわんじゃねえ・・・。」
純も和希の手を拒んだ。
「・・・二人とも、なにしてんだよ。けんかなんかしてる場合か?」
保健室に行こうと言う和希を無視して、純は屋上から姿を消した。
「守?」
和希がそうっと覗き込む。守ははっとしたように気付くと、微笑んで言った。
「ごめんね、怖いとこ見せちゃったね。」
守は背を向けた。
「授業、始まるよ。そろそろ行かなきゃな・・・。」
和希はひとり、屋上に取残されてしまった。

純は教室に姿を見せず、守も口を閉ざしたままだった。
和希はため息をつくと、前の席の男が振り返った。
「なんか言った?」
この男はすぐ振り返るな・・・。
「なんでもないよ」と答え、窓の外に目を向ける。
「あ・・・。」
純だ。女の子が近づいてくる。腕をとられ、歩いていく。
「またかよ・・・。」
和希はさらに大きくため息をつき、机に伏した。

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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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