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超自己満足小説
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純は練習。守は新執行部の顔合わせ。
「先に帰ってるね。」
とは言ったものの、まだ早い時間なので駅前の本屋まで行って時間をつぶすことにした。

「よお、ひとり?」
和希が振り返ると、見たことのある男が立っていた。
ああ、確かこの人が基樹だ。
「こないだはどーも。」
基樹は笑いながら近付いてきた。
和希は軽く無視をすることに決めた。
基樹はぶつぶつ言いながら和希の顔を覗き込んだ。
「おまえ、ホントに女みてえな顔してんな。ちょっと話さね?」
基樹は和希の手首を掴むと、本屋から連れ出した。

連れて行かれた先には、ほかに二人の男子学生がいた。
ああ、この二人も見覚えがある。
こないだこいつと一緒にいた奴だ。
「何なんだよ、俺あんたたちと話すことなんてないよ。」
基樹が立ち止まって振り返り、和希を見下ろして言った。
「純、復帰したんだって?レギュラー取ったらしいじゃん?」
「そうだよ。純は強いんだから。あんただってサッカー部だったんだろ?」
「俺は怪我でもうできないって、聞いてない?」
はっと息を呑む。
失言だった。
「べつに恨んじゃいねえよ。だけど、面白くないのは、分かるだろ?」
「・・・分かんないよ。」
和希は基樹を睨み返して、言ってやった。
「純の足を引っ張るつもり?くだらないな。だから負け犬なんて言われるんだよ。」
「お前に何が分かる。」
「元はといえばあんたが原因だったんだろ?純は今、頑張ってるんだ。もう二度と同じ間違いは繰り返さない。」
見る見る基樹の顔色が変わっていく。
まずいな・・・思ったときには手遅れだった。

「くそナマイキなやつだな。」
鈍い音がして、腹部に痛みが走った。
一瞬息が止まる。
「う・・・。」
「お前じゃ話にならねえ。純を呼び出せよ、『助けてください』って。」
純に手を出させる気だな、そうはさせない。
「いやだ。」
「ちびのクセに、どこまで耐えられるかな?」
左腕を掴んだ男が、和希の顔に手をかけて、上を向かせた。
「ほら、キレーな顔にも傷つけちゃうよ?」
黙って睨み返すと、「ムカつく奴だな」と言って左ほほを殴った。
体がバウンドして、背後の壁にぶつかる。
ちょっとだけブラックアウトした。
「ほら、ケータイ持ってんだろ?」
基樹は和希のかばんを勝手に開けて、携帯を取り出した。
「やめろ!」
腹に二度目の衝撃。
今度は右の男に蹴られた。
「だめっ、やめろ!!」
「うるせえんだよ!!」
基樹が和希の手を踏みつける。
勝手にリダイヤルを押し、携帯を耳に当てた。
「純?おれ。そう、基樹。・・・和希?ああ、こいつのこと?・・・知らねえよ、今、駅前にいるから。」
「純!!だめ!来ちゃだめ!!」
「うるせえよ!!・・・ああ、こっちのこと。早く来ねえと、このちっちゃい人どうなっても知らねえよ?・・・5時まで待つから。」
純、来ないで・・・。
背中を蹴られ、苦しくて声が出せなくなる。
和希は朦朧としたまま、基樹の足首を掴んだ。
電話を切った基樹は、薄笑いを浮かべて和希を見下ろして言った。
「おまえじゃ楯にもならねえんだよ。」
くそ・・・。
ぼんやりとした意識の中、視界の隅に見覚えのある姿が映った。
「和希!!」
守の声だ。
もうひとり・・・。
「和希」
揺り動かされ、閉じかけていた目を開けた。
純の顔が目に入る。
「純・・・ダメだって・・・」
何で来ちゃったんだよ。
和希は純の袖口を掴んで、言葉にならない声を発した。
「お前は和希を連れて、先に帰れ。」
守の冷えた声がする。
「けどよっ」
「いいから。ここでお前が手を出したら、何のために和希がこんな目にあったか、分からなくなる。」
「・・・・・」
「あとは任せて。和希を頼む。」
仕方なさそうに、純は和希を抱き上げると、基樹たちを一瞥した。
「逃げんのかよ!」
基樹が食ってかかる。
「あんたたちは俺が相手になるから。」
遮るように前に出て、守は基樹たちを睨みつけた。
「・・・女の子に手をあげるなんてね・・・許さないよ・・・」
冷たく言い放って、足を高く振り上げた。


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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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