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超自己満足小説
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和希を抱き上げたまま、純は早足で寮に戻った。
裏口から入り、205号室へ向かう。
時折、苦しげな声が漏れる。
和希をベッドに寝かせ、タオルを濡らしてきて汚れた顔を拭いてやった。

「・・・じゅ・・ん・・」
和希が目を開けた。
殴られたのか、頬が痛々しい。
「ごめん・・・俺のせいだ・・・」
和希はなぜか笑みを浮かべ、首を横に振った。
「純のせいじゃない、俺の責任だよ。のこのこついて行ったからいけなかったんだ。」
そういうと、痛むのか少し顔をゆがめた。
「でも、よかった・・・。手、出さなかったんだね。」
「ああ。約束は守った。」
「守は?」
心配なのか、ちょっと不安げな表情をした。
「あいつなら、大丈夫だと思う。本当に、すまなかった。」
「へへ、もういいって。」
ドアを激しく叩く音がし、「入るよ」と言って守が入ってきた。
「和希、大丈夫か?」
足早に枕元に駆け寄り、心配そうに顔を覗き込んだ。
「へーき。守は?」
「俺はなんともなってない。・・・酷いな、腫れてる。ちょっと待ってろ、救急箱取ってくる。」
どこからか救急箱を持ってきて、守はいそいそと手当てを始めた。
「他は?」
見えている傷を処置してから、尋ねた。
「もう大丈夫だよ、よいしょ・・・!!」
和希は起き上がろうとして、小さく悲鳴を上げた。
「・・・いて・・・」
「どこだ?お腹?」
守はそっと抱き起こし、鳩尾までシャツを引き上げた。
「・・・蒼くなってる。・・・もっとやっとけば良かった・・・。」
和希の腹部に手を当てると、守は悔しそうに呟いた。
「・・・二度とこんな怪我させない。今度何かあったら、すぐに俺を呼んで。必ず、助けるから。」
「・・・・・」
「必ず、守るから。」
その真剣な表情に、和希は戸惑っていたが、やがてにっこりと微笑んで言った。
「うん、分かったよ。・・・ありがとう。」
様子を見ていた純の心に黒い気持ちが生まれる。
自分に対するものなのか、それとも・・・。
「夕食、取ってくる。部屋で食うだろ?」
とにかくこの場を去りたい気持ちになって、理由をつけて部屋の外へ出た。

「和希の怪我は、明日にはもっと目立つだろう。学校は休ませたほうが良い。それから、痛がるようだったら何時でも良いからすぐ呼んで。」
「ああ。」
「じゃ、頼んだよ。」
そんな守の言葉にも、純はイラついてしまう。
部屋に戻り、横たわる和希の顔を見る。
約束を守らせるため、自分のために、その身を張ってくれた・・・。
女のクセに・・・。
「馬鹿だな」とつぶやくが、本心ではない。
・・・こいつを誰にも渡したくない・・・。
初めて知る感情にいらだつ。戸惑う。
無意識に頬に触れた。
純の中で、その存在が親友という枠を超えた。
「・・・好きだ・・・」
以前からどこか心の奥で感じていた想い。
それが強くなり、改めて自覚する。
言葉にすれば、さらに溢れ出てくる。
背中に手を回し、抱きすくめる。
小さな体を感じ、さらに愛おしさがあふれる。
「好きだ・・・お前を・・・誰にも、渡さない。」

翌日は、守に言われたとおり欠席することにした。
部屋に閉じこもったままの和希を心配して守が訪ねてきたが、「今寝てる」と純が入室を拒んだため、様子を伺うことはできなかった。
甲斐甲斐しく世話をしている様子の純に、責任を感じてるのかな、と守は思っていた。


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プロフィール
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綾部 叶多
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非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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