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超自己満足小説
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校門を出たところに、その男は立っていた。

文化祭の出し物が決まり、一組は劇をやることになった。
中学からずっと演劇部だったという前田がゴリ押ししたのだ。
「台本も、演出も、俺がちゃんとやるから。」
それならばと、他にやりたいものもなかったクラスの連中は、仕方なく賛同した。
係になった一部の生徒だけで残って打ち合わせをした後、和希はひとりで寮に帰ることにした。
「じゃあ、また明日。」
手を振って校門へ急ぐ。
早く帰って、課題を終わらせなきゃ。
練習を終えた純に教えてやるんだ。
自然と足が速くなる。
「九条くん。」
誰かに呼び止められた。
「はい?」
振り返る。
そこにはなじみの顔があった。
だが少し様子が違う。
「・・・・?」
その男は和希に近づき、腕を伸ばした。
「?!」
和希はそのまま男の腕に倒れこんだ。
その目は閉じられたまま。
手早く車に押し込むと、男は運転手に行き先を告げた。

意識が浮上した和希は、瞬きして周りを見回した。
「どこ・・・?」
見たことのない家具に、洒落た照明。
大きなガラスの窓からは、高層ビル群と有名なタワーが見える。
「ああ、気がついた?」
耳慣れた声。
和希は声の方向へ目を向けた。
「まも・・る・・・」
違う、守じゃない、この人は・・・。
「わたる・・・くん?」
「よく分かったね、九条和希・・・ちゃん。」
男はくくっと笑った。
「君、女の子だったんだね。」

「あれ~?守、帰ったんじゃなかったの~?」
「いや、実行委員の打ち合わせがあったから。」
下駄箱で声をかけられた守は、靴を履き替えながら答えた。
「ふ~ん、じゃ、さっきのは守じゃねえんだ。」
「さっきのって?」
「和希連れてったやつ。てっきり守かと思った。私服だったからあれ?って思ったけど。」
守は少し考えて、言った。
「・・・それって、いつの話?」
「ちょい前だよ、買出しに出る時だったから。」
「和希を連れてた?」
「うん。あいつなんか具合悪いのか、ぐったりして車乗ってった。」
話の途中で守は携帯を取り出し、通話を押した。
「・・・ああ、関口?渉はどこにいる?・・・そう、今だ。・・・TRホテル?間違いないな。」
「ちょっ、守?」
守が駆け出したので、声をかけた生徒は一人取り残されてしまった。

「ちょっと、なにすんだよ!」
服に手をかけられ、和希は抗議の声を出した。
「離せよ!これ、取って!」
両手首をネクタイで縛り上げられている。
「ねえ、もう守とは寝た?」
「な・・・そんなこと、するわけないだろ!」
「へーえ、まだなんだ。よっぽど大切なんだねえ・・・。」
そう言いながら、シャツのボタンを外していく。
「君、きれいだもんねえ。守もついに男に走ったかと思ったのに、女の子だったとは・・・。」
渉はまたくくくと可笑しそうに笑った。
「俺、男も好きだけど、女の子も好きなんだよねえ。キレイな子は特に。美しいものって、いいじゃない?」
「なに言ってんだよ!離せ!!」
「ねえ、俺、守とおんなじ顔してるでしょ?みんな見分けがつかないんだよ?まったくの別人なのに、ココの出来も違うのに。でも、俺の欲しいものはみ~んな、守が持ってっちゃうんだよね。」
肌蹴られた和希の肌に唇を這わせながら、渉は言った。
「おにーさんの持ってるもの、みんな欲しくなっちゃうんだ・・・、大切にしてるものは、特に。」
和希は渉を睨み上げて抗議する。
「守は!渉くんのこと認めてるよ?才能あるって、俺なんかより跡取りに向いてるって。守だって・・・」
渉の動きが止まる。
「兄貴が、何?」
「おんなじ顔だって全然違うことくらいすぐ分かるじゃないか。分かってもらえばいいじゃないか。逆恨みなんかするなよ。欲しいものがあるなら自分で努力しろよ。卑怯なこと、するな!」
「卑怯?おれが?」
「こんな手使って卑怯じゃないか。守はあんたの才能にコンプレックス持ってるから、がんばってるんじゃないか。」
「そんなはずがない。あいつは昔から要領がよくて・・・」
「違うよ!渉くんのほうが何でもすぐに出来たんだって言ってた。守はそれに負けないように努力したんだ。勉強だってなんだって。渉くん、せっかく持ってる力を無駄にするなよ!」
言い争っているうちに、激しくチャイムの音が鳴った。
「いるんだろ?渉!開けろ!!」
ドアをガチャガチャいわせる音。「キーを!」と怒鳴る声がして、ドアが開いた。
守が駆け寄ってくる。渉はすばやく和希の上から退いた。
守は無言で和希の手首を縛っているネクタイを解き、服を合わせた。
「・・・渉。」
和希の服を調えると、渉に背を向けたまま言った。
「和希に何かしたら、たとえお前であっても許さない。」
その声はとても冷えていた。


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プロフィール
HN:
綾部 叶多
性別:
非公開
自己紹介:
当ブログについて

はじめまして。
こちらは綾部叶多が管理する妄想小説ブログです。
管理人の萌えツボをひたすら刺激するためだけの話がおいてあります。
管理人はリアル生活において低血糖なため、糖度が若干高めになっております。
お口に合いますか存じませんが、よろしければどうぞご賞味くださいませ・・・。




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